01永遠の都、二千年の美をめぐる

建国神話にはじまり、古代ローマ時代の栄光、芸術の最盛期を迎えたルネサンスからバロック、そして芸術家たちの憧れの地となった17世紀以降の時代まで、「永遠の都」ローマをめぐり生み出された壮大なる美の歴史をたどります。

02必見!カピトリーノ美術館のコレクション

教皇のコレクションを核に設立され、1734年に一般公開が始まったカピトリーノ美術館は、世界的にもっとも歴史の古い美術館の一つに数えられます。ローマの観光地としても人気の高い同館のコレクションのなかから選りすぐりの名品をご覧いただけます。

03頭部だけで約1.8メートル!迫力の巨大彫刻

古代ローマ帝国の栄華を象徴する《コンスタンティヌス帝の巨像》。本展では一部を原寸大で複製した作品を展示します。迫力ある巨大彫刻を間近でご覧いただき、ローマ皇帝だからこそなしえたダイナミックな古代芸術を体感してください。

04門外不出の傑作《カピトリーノのヴィーナス》、奇跡の初来日!

古代彫刻の傑作《カピトリーノのヴィーナス》が来日します。カピトリーノ美術館以外では滅多に見ることができない門外不出の作品です。※東京展のみ展示



  • カピトリーノのヴィーナス
  • 第1章
  • 第2章
  • 第3章
  • 第4章
  • 第5章
  • 特集展示
  • カピトリーノ美術館
  • カピトリーノのヴィーナス 奇跡の初来日

    東京会場展示
    360度からカピトリーノのヴィーナスをご鑑賞いただけます。

    《カピトリーノのヴィーナス》
    《カピトリーノのヴィーナス》

    古代ギリシャの偉大な彫刻家プラクシテレスの女神像(前4世紀)に基づく2世紀の作品。ヴィーナス像に典型的な恥じらいのポーズをとる。ミロのヴィーナス(ルーヴル美術館)、メディチのヴィーナス(ウフィッツィ美術館)に並ぶ古代ヴィーナス像の傑作として知られています。カピトリーノ美術館以外では滅多に見ることができない門外不出の作品です。※東京展のみ展示

    《カピトリーノのヴィーナス》

    《カピトリーノのヴィーナス》
    2世紀 大理石 カピトリーノ美術館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

    《カピトリーノのヴィーナス》

    《カピトリーノのヴィーナス》
  • 1ローマ建国神話の創造

    第1章では、ローマのシンボルともいえる作品「カピトリーノの牝狼」を出発点として、古代ローマの建国を伝える伝承や神話を紐解きます。
    ローマ建国神話は、ウェルギリウスの叙事詩 『アエネイス』 のなかで、ギリシアのトロイアを脱出し、苦難の末にイタリアに上陸した勇者アイネイアスの子孫たちの歴史として語られています。そのエピソードの代表格といえるのが、軍神マルスと巫女レア・シルウィアの間に生まれた双子ロムルスとレムスを育てる牝狼の物語です。
    本展では、乳を飲む双子の彫像が付け加えられた《カピトリーノの牝狼(複製)》を展示します。同作の修復をめぐる研究成果を踏まえつつ、建国神話を表わす古代彫刻やメダルなどを通して、その表現の伝統をたどります。

    カピトリーノの牝狼(複製)

    《カピトリーノの牝狼(複製)》
    ローマ市庁舎蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

  • 2古代ローマ帝国の栄光

    古代ローマ帝国は、前1世紀、ユリウス・カエサルとその遺志を継いだオクタウィアヌス(のちのアウグストゥス)が礎を築き、続く数々の皇帝たちによって繁栄しました。本章では、歴代ローマ皇帝の肖像をはじめ、ローマ帝国ゆかりの女性たちの肖像など、それぞれの「時代の顔」を通じて栄光の時代をたどります。加えて、帝国の栄華を象徴する、《コンスタンティヌス帝の巨像》の一部を原寸大複製で展示します。頭部だけで高さ約1.8メートルのスケールをもつ巨像は、カピトリーノ美術館誕生のきっかけにもなった重要な彫像の一つです。本展では、巨像の頭部、左足、左手、さらにルーヴル美術館で近年発見された人差し指の複製をあわせて展示します。

    コンスタンティヌス帝の巨像の頭部(複製)

    《コンスタンティヌス帝の巨像の頭部(複製)》
    ローマ文明博物館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico del Museo della Civiltà Romana

    コンスタンティヌス帝の巨像の手部、球体(複製)

    《コンスタンティヌス帝の巨像の左手(複製)》
    ローマ文明博物館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico del Museo della Civiltà Romana

    老女像

    《老女像》
    2世紀 大理石
    カピトリーノ美術館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

    イシスとして表わされたプトレマイオス朝皇妃の頭部

    《イシスとして表わされたプトレマイオス朝皇妃の頭部》
    前1世紀-後1世紀 バロス島産大理石
    カピトリーノ美術館分館 モンテマルティーニ美術館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

    女性の胸像

    《女性の胸像》
    頭部:1世紀末-2世紀初頭、胸部:2世紀後半 ギリシア産大理石
    カピトリーノ美術館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

  • 3美術館の誕生からミケランジェロによる広場構想

    1471年、時の教皇シクストゥス4世は、教皇宮殿前に置かれていた《カピトリーノの牝狼》や《コンスタンティヌス帝の巨像》を含む古代ブロンズ彫刻4点を、ローマ市民に返還するという名目で寄贈し、カピトリーノの丘の中庭に設置しました。 これが現在のカピトリーノ美術館コレクションの前身です。その後、16世紀に巨匠ミケランジェロがカピトリーノの丘の頂にカンピドリオ広場を建設するプロジェクトを手がけました。こうして広場と建築群からなる現在の美術館複合体は、都市ローマの壮麗さを体現する現在の姿にいたりました。本章では、美術館の起源からミケランジェロの都市計画までの展開を絵画、版画等を通してご紹介します。

    ミケランジェロ・ブオナローティの肖像画

    トスカーナの画家(16世紀)《ミケランジェロ・ブオナローティの肖像画》
    1535年以降 油彩、板
    カピトリーノ美術館 絵画館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

    カンピドリオ広場の眺め

    エティエンヌ・デュペラック《カンピドリオ広場の眺め》
    1569年 エッチング
    ローマ美術館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico del Museo di Roma

    ローマ教会の擬人像

    ローマ派工房《ローマ教会の擬人像》
    13世紀初頭 モザイク、石とガラスのテッセラ
    ジョヴァンニ・バッラッコ古代彫刻美術館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico del Museo Barracco

    ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ

    ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ《カンピドリオとサンタ・マリア・イン・アラチェリ聖堂の眺め(『ローマの景観』より)》
    1745-78年 エッチング
    ローマ美術館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico del Museo di Roma

  • 4絵画館コレクション

    1734年、教皇クレメンス12世により、それまでカピトリーノの建物群におさめられていた膨大なコレクションが一般公開され、公共美術館としての歴史が始まりました。その後、1748年から1750年にかけて、教皇ベネディクトゥス14世の尽力により、サッケッティ家とピオ・ディ・サヴォイア家というイタリア名家旧蔵の絵画コレクションが収集され、絵画館が設立されました。本章では、絵画館コレクションより、 16世紀から18世紀に活躍した画家たちの作品を中心に紹介します。当時の芸術のパトロンたちがどのような絵画を好み、収集していたのか、また、当時のイタリアではどのような画家たちが活躍し、どのような画題や表現が主流だったかを知る貴重な機会となるでしょう。

    キリストの鞭打ち

    ドメニコ・ティントレット《キリストの鞭打ち》
    1590年代 油彩、カンヴァス
    カピトリーノ美術館 絵画館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

    聖家族

    カルロ・マラッティ《聖家族》
    1712年 油彩、カンヴァス
    カピトリーノ美術館 絵画館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

    教皇ウルバヌス8世の肖像

    ピエトロ・ダ・コルトーナ《教皇ウルバヌス8世の肖像》
    1624-27年頃 油彩、カンヴァス
    カピトリーノ美術館 絵画館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

    狩人としての女神ディアナ

    カヴァリエル・ダルピーノ《狩人としての女神ディアナ》
    1600-10年頃 油彩、板
    カピトリーノ美術館 絵画館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

    メロンをもつ若者(嗅覚の寓意)

    カラヴァッジョ派の画家(17世紀前半)《メロンをもつ若者(嗅覚の寓意)》
    1626-29年頃 油彩、カンヴァス
    カピトリーノ美術館 絵画館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

    聖母子と天使たち

    ピエトロ・ダ・コルトーナ《聖母子と天使たち》
    1625–30年 油彩、カンヴァス
    カピトリーノ美術館 絵画館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

  • 5芸術の都ローマへの憧れ―空想と現実のあわい

    古代遺跡の宝庫である都市ローマは、17世紀以降、グランドツアーなどを介してイタリア内外の芸術家たちの芸術的霊感源となりました。古代建築やその装飾は、彼らの自由な発想によって、はるかな時を越えてよみがえり、多くの傑作を生みだしました。本章では、古代記念碑「トラヤヌス帝記念柱」をモティーフとする版画や模型、ピラネージ、ファン・ヴィッテル、カノーヴァらの名品を紹介します。ヨーロッパの歴史、文化の源泉として、外国人芸術家やナポレオン皇帝をはじめとする時の為政者を魅了したローマ美術の再解釈をめぐって、鑑賞者もまた思索や夢想へと誘われることでしょう。

    トラヤヌス帝記念柱の正面全景

    ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ《トラヤヌス帝記念柱の正面全景》
    1774-75年 エッチング
    ローマ美術館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico del Museo di Roma

    マイナスを表わす浮彫の断片

    《マイナスを表わす浮彫の断片》
    前1世紀末-後1世紀、ペンテリカス産大理石
    カピトリーノ美術館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

    古代アッピア街道とアルデアティーナ街道の交差点

    ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ《古代アッピア街道とアルデアティーナ街道の交差点 (『ローマの古代遺跡』第2巻より)》
    1756年頃 エッチング、エングレーヴィング
    ローマ美術館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico del Museo di Roma

    フォロ・ロマーノ

    イッポリート・カッフィ《フォロ・ロマーノ》
    1841年 油彩、カンヴァスに貼付された紙
    ローマ美術館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

  • 特集展示 カピトリーノ美術館と日本

    カピトリーノ美術館は実は日本とゆかりの深い美術館です。ちょうど150年前にあたる1873年、明治政府が欧米に派遣した岩倉使節団がカピトリーノ美術館を訪れました。欧米の本格的な博物館を視察した彼らの経験は、日本の博物館政策や美術教育にも影響を与えることになります。1876年に日本最初の美術教育機関として工学寮美術校(のちの工部美術学校)が設置され、国外から指導者たちが招聘されると、イタリア各地の施設が所有していた古代彫刻にもとづく石膏像が指導教材として日本に持ち込まれました。そのなかにはカピトリーノ美術館の石膏像も含まれていました。特集展示では、カピトリーノ美術館と日本の交流を、版画やパネル、石膏像を通じて紹介します。

    松岡壽

    松岡壽《工部美術学校画学教場》
    1877-78(明治10-11)年頃 鉛筆、紙 個人蔵

    欧州婦人アリアンヌ半身

    小栗令裕《欧州婦人アリアンヌ半身》
    1879(明治12)年 石膏 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻蔵

    ディオニュソスの頭部

    《ディオニュソスの頭部》
    2世紀半ば 大理石 カピトリーノ美術館蔵

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini

  • カピトリーノ美術館

    カピトリーノ美術館は、ローマの7つの丘の一つ、カピトリーノの丘(カンピドリオの丘)に建つ美術館です。この丘は、古代には最高神ユピテルら神々を祀る神殿がそびえ、古代ローマの栄光を象徴する聖域でした。
    カピトリーノ美術館のはじまりは、1471年に教皇シクストゥス4世が《カピトリーノの牝狼》をはじめとする4点の古代彫刻をローマ市民に寄贈したことにさかのぼります。これらを核に、ローマで発掘された古代遺物やヴァティカンに由来する彫刻、またローマの名家が所有する美術品が加えられ、1734年、教皇クレメンス12世の時代に一般に向けて公開されるようになりました。18世紀半ばには絵画館が設立され、さらにはイタリア共和国の首都となったローマ全域から発掘された古代遺物の収集が進み、充実したコレクションが築かれました。
    カピトリーノ美術館をなす主要な建物は、ミケランジェロによって設計されたカンピドリオ広場に面するパラッツォ・デイ・コンセルヴァトーリと、17世紀に建設されたパラッツォ・ヌオーヴォです。《カピトリーノのヴィーナス》や《マルクス・アウレリウス帝騎馬像》など古代彫刻の傑作をはじめ、ピエトロ・ダ・コルトーナらローマ・バロックの優れた作品を含む中世から18世紀までの絵画、そして貨幣やメダル、宝飾品など、歴史あるローマならではの多岐にわたるコレクションを収蔵、展示しています。

    カンピドリオ広場のカピトリーノ美術館

    カンピドリオ広場のカピトリーノ美術館

    ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali


    カピトリーノ美術館 関連年表
    ローマ地図